保育園保健師が答える子供の病気 熱性けいれんについて

子どもの熱
こんにちは!今川先生(@PImagawa)です。

この間書いた、子どもの熱の測り方についての補足で、熱に伴う病気の中で、『熱性けいれん』というものがあります。

体温計測

保育園保健師による、子供の熱の測り方と熱の影響について

2020年2月13日

今日は、熱性けいれんについて書きたいと思います。

熱性けいれんとは

子どものけいれんの中で最も多いのが『熱性けいれん』です。

熱性けいれんは、字のごとく『熱があり、けいれんを起こす病気』です。

熱性けいれんは38度以上の高熱に伴って、6歳未満の乳幼児期に起こる発作的な病気で、後ほどお出しする表の中に出てくる中枢神経感染症、代謝異常、その他発作の原因になる疾患がないものをいいます。

熱性けいれんが発生しやすい年齢

生後5、6か月から5、6歳までの子どもに使われる病名で、6歳未満の小児の7~8%(だいたい10人に1人ぐらい)に起こるといわれ、1~2歳が熱性けいれんが最も起きやすい年齢になります。

熱性けいれんはどうして起こるのか?

子どもの脳が未熟なため、ということも言われています
が、熱性けいれんのメカニズムは、実はまだよくわかっていません。

熱のほとんどの原因は、風邪などの感染症です。

熱性けいれんは子どもの7~8%にみられる、ごくありふれた病気の一つです。

両親や兄弟に、子どものころ同じ熱性けいれんを起こした人がいることが多く、遺伝的な病気とも考えられています。

一度、熱性けいれんをすると30%から50%の子どもが繰り返すようで、38℃以上の熱を出してから24時間以内に起こることが多いです。

熱性けいれんには、『単純型』と『複雑型』の2種類があります。

熱性けいれん表

単純型熱性けいれん

単純型熱性けいれんでは、全身のふるえ(全般発作と呼ばれます)が続くのは15分未満です。

複雑型熱性けいれん

複雑型熱性けいれんでは、全身のふるえが15分以上続いたり、体の片側だけがふるえたり(部分発作と呼ばれます)、24時間以内に発作が2回以上起こったりします。

熱性けいれんが続くと…。

複雑型熱性けいれんが起こる小児は、わずかですが年数が経ってから『てんかん発作』という病気を起こしやすくなります。

2、3日熱が続いてから、けいれんを起こすときは、熱性けいれんよりも髄膜炎や脳炎の場合が多く要注意です。
なので、突然けいれんを起こして、初めて熱があることに気づくことも多いのです。

熱性けいれんで脳に影響することは非常にレアケースです。

熱性けいれんへの基本的な対応

熱性けいれんの70~80%は、心配のない単純型熱性けいれんです。
まずは慌てず、けいれんをよく「観察」することが重要です。

「けいれん中に舌を噛むのを防ぐために割り箸やタオルなどを口に入れる」という処置は、誤った処置です。

かえって口の中を傷つけたり、吐き気を誘発したり、窒息する恐れがあるので、絶対にしないでください。

基本的な対応
・チアノーゼ、呼吸抑制、意識消失があってもあわてず、おちつくこと。

・ 衣服をゆるくし、特に首のまわりをゆるくし、頭部を少しそり気味にして呼吸を楽にする。

・頭部を身体よりやや低くし、身体を横向け(横臥位といいます)にして顔を横に向け、吐いた物がのどに詰まらないようにする。

・吐物、分泌物が口のまわり、鼻孔にたまっていたら、ガーゼで拭き取る。

・歯を食いしばっている時でも、口の中に物は入れない。

・体温を測定し、発作の長さ(どのくらいの時間続いているか)とけいれんの形(左右差、眼球に変化はないかなど)を観察し記録する。

・口から薬や飲み物を与えない。

・元にもどるまで必ずそばにいる。

・抱っこなどで激しくゆすったり、大声で呼びかけたりして、大きな刺激を与えない。

・氷まくらなどの保冷材で身体を冷やし、医師に指示されている場合には、薬剤(座薬等)を使用する。

緊急で医師の受診が必要なけいれん

「熱性けいれん指導ガイドライン」によると、発熱時のけいれんの中でも以下の場合は、良性ではない熱性けいれんの可能性があるため、すぐに受診が必要とされています。

すぐに受診が必要な場合
・発作が5分以上続く場合

・短い間隔で繰り返し発作が起こり、この間意識障害が続くとき

・身体の一部の発作、または全身の発作であるがある部分が極端に動いている発作(部分発作といいます。)

・初めての発作(特に1歳未満の場合)

・発熱と発作に加え他の神経症状 (意識障害や麻痺など)を伴う時

・けいれんの前後に頭痛や嘔吐、意識障害を伴う場合

・けいれんが左右に極端な差がみられる場合

・けいれん後に麻痺が見られる場合

熱性けいれんは再発するのか

熱性けいれんを発症した子どものほとんどは、生涯を通じて1回しか発作を起こさないといわれています。

再発する確率は25~50%、3回以上発作が起こる確率(発作反復といいます)は全体の9%程度です。

ただし、熱性けいれんは、

・1歳未満での熱性けいれん初発の場合
・親や兄弟に熱性けいれんの既往がある

上に当てはまる場合には再発率が50%と言われています。

熱性けいれんの薬

『熱性けいれんを起こしやすい子ども』の場合、かかりつけ医から熱性けいれんの予防薬として「ジアゼパム(商品名:ダイアップ)」という坐薬が処方されることがあります。

熱の上がり際に熱性けいれんを起こしやすいため、37.5℃以上や38度、医師から指示された体温を超えた場合に挿入することになります。

この坐薬の取り扱いには十分注意しなければなりません。

保育園で扱う場合
保育所保育指針解説書第5章 健康及び安全の中の「与薬への留意点」では以下のように記載があり、「特に坐薬は慎重に」ということが書かれています。

「保育所において薬を与える場合は、医師の指示に基づいた薬に限定します。その際には、保護者に医師名、薬の種類、内服方法等を具体的に記載した与薬依頼表を持参してもらいます。」

・保護者から預かった薬については、他の子どもが誤って内服することのないように施錠のできる場所に保管するなど、管理を徹底しなければなりません。

・与薬に当たっては、複数の保育士等で、重複与薬、人違い、与薬量の誤認、与薬忘れ等がないよう確認します。

・坐薬を使用する場合には、かかりつけ医の具体的な指示書に基づき、慎重に取り扱う必要があります。(予防薬としての坐薬使用時の体温、タイミングがかかりつけ医により多少ことなります)

実際には保育園で座薬を扱うことは医療行為とのグレーゾーンとよく言われるのですが、医師の診断書と保護者の了承を得ることにより、より安全に座薬を使用することができると思います。

何もせず、重篤な状態を引き起こすより、保育園独自のガイドラインを作成して、行動される方がいいです。

熱性けいれんが起こったら

まず、落ち着くことが大切です。

『けいれん』を目の当たりにすると、頭ではわかっていながらも慌ててしまうものです。

子どもの生活で、さっきまで元気だったのに突然けいれんする、という事態は時々起こりえます。

慌てるのは仕方がありませんが、それよりまず、頭の中に「子どものけいれんとは?」というスペースをつくっておくといいと思います。


で、熱性けいれんを目の当たりにすると、そのけいれんが、「単純型」か「複雑型」か瞬時に見分けることが困難なことがあります。

基本僕のような保健師看護師でも瞬間的にはわからないことがあり、小児科のお医者さんですら慌てることがあります。

つぎに、深呼吸して、しっかりと対応することが重要です。

さっきまで元気だったのに突然けいれんを起こす、ということも珍しいことではありません。

しかし急に高熱になることはまずありませんので、特に熱性けいれんの既往がある子どもの場合、日頃からの観察が大切です。

保育園で起こった場合(保育士向け)

誰でも、いつでも、対応できるよう、熱性けいれんへの基本的な対応を、全職員に繰り返し徹底しておく必要があります。

特に与薬の必要な子どもを預かる場合には、手順をマニュアル化し、一定期間ごとに研修を行うなどして「いざ」という時に備えるといいと思います。

最後に、熱性けいれんが起こらないよう、日頃の健康状態の把握が重要です。そして無用な感染症にかかり高熱を出すことの無いよう、予防接種は必ずするように勧めましょう。

その他のけいれん(憤怒けいれん、てんかん発作)

憤怒によるけいれん

「泣き寝入りひきつけ」ないし「憤怒けいれん」と言われるけいれんがあります。泣いた後、空気を吸ったまま吐き出せなくなり、徐々に顔色が悪くなり「チアノーゼ」という状態になります。

さらに続くと、子どもは体が硬くなり、体がエビ反りになります。空気を吐き出し、再び泣き声が出ると顔色はピンクになります。

呼吸中枢の未熟性によるものと言われていましたが、詳しいことはまだよくわかっていません。3、4歳を過ぎれば自然になくなります。

てんかん

熱性けいれんの次に子どもによくあるけいれんとしては『てんかん』があります。

熱もないのに、けいれんを繰り返すときには、てんかんを考えましょう。脳波検査で異常があることが多い病気です。子どもの1%弱がかかります。

 てんかんと診断されると、当分の間、けいれんを予防する抗けいれん剤を服用します。てんかんには多くの種類があり、小児科医の神経の専門医が経過をみることが多いのです。

熱がないことがてんかんの特徴ですが、発熱がてんかん発作を誘発しやすいのも事実なので、熱性けいれんを繰り返すときには、てんかんを疑って脳波などの検査をすることはよくあります。

てんかんによるけいれんが長時間続いたり繰り返したりすることで起きる障害を「けいれん重積」と呼びます。様子を見て15分以上長引くときには救急車を呼びましょう

てんかんは、突然、けいれんや意識障害を起こす病気で、大脳の神経細胞を一定のリズムで流れている電気信号が突発的にたくさん放出されることによって起こるといわれています。

この病気の発症率は100人に1人といわれており、珍しい病気ではありません。
発症年齢は、乳幼児から高齢者までと幅広く、約80%が18歳以下で発症しています。そのなかでも3歳までに発症する割合が最も多くなっています。

てんかんの発作は、そのままにしておくと症状を抑えることが難しくなってきます。症状が現れたら、なるべく早くてんかんの専門外来がある病院、または神経内科を受診しましょう。

熱性けいれんのまとめ

僕が勤める保育園でも、実際にけいれん予防の座薬をお預かりしています。
150人の入園児がいる中、5人程度なので、確率的にはそれほど多くありません。

しかし、保育園でも、ご家庭でも、子どもが高熱を出すと、『熱性けいれん』を起こす可能性はあると思います。

しかし、それほど心配する病気ではないので、もしけいれんが起こったとしても、落ち着いて対応できるように、知識として、これまで書いたことを頭の片すみに置いてもらえればいいなと思います。

また何かございましたら、保育園保健師の今川までご相談ください。

子どもの熱

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今川先生と申します。
仕事は保育園の保健室で看護師・保健師をしています。
保健師として、色々なところで講演活動をしておりますが、あくまでも仕事としての受け答えとなり、もっと、気楽に子育て中のママさん、パパさんのお悩みにお答えできればと思っております。